なるべく身近な木を使いたいと考えています。
昔は『一里以内のものを食べよ』(一里は約4km)という言葉もありました。
遠くから持ってくるのではなく、地元にあるものを活かして、昔から道具や建物も作られてきた訳です。
地産地消とも言えます。幸い、飛騨/高山は木材の豊富な所で、クリ、サクラ、トチ、キリなどの地元の木が手に入ります。
それに地元の木の方がなんだか愛着が湧かないですか?
海外から輸入するものは食品と同じで、ポストハーベストの問題も少なからずあると思います。
好きでよく使うのは、クリ、サクラ、ミズメです。
お客様の好みを伺いながら、用途に合わせて強度や重さ、耐水性など、木の特性をふまえて、より良い材料をご提案します。
接着剤は、身体に害は少ないとされているものを使用していますが、
可能な限り、より安全安心な、自然素材(にかわ、米のり)をなるべく使うようにしています。
塗装は、オスモオイルまたは蜜蝋ワックス
イボタロウ
エゴマ油
食用ぶどう油を使っています。
ちゃぶ台、テーブル、くつべらなど鉋で仕上げています。
なぜ、かんな仕上げ?
親方の作品を見たときに驚きました。その艶、輪郭の清々しい美しさ。手触り。
よく切れる刃物で削った表面には光沢があり、使うたびにそのつやを増していく。
そして、20年経って修理で戻ってきたイスを見て、さらに驚きました。
艶が増し、色に深みが増し、滑らかな表面でした。
家具製作で通常行われるサンドペーパー仕上げは、木の表面を傷つけており、
相当細かい目で磨かねば、刃物ほどの滑らかさや艶は出せないと思います。
「かんな仕上げ」は道具の調整や刃物の研ぎなどの手間がかかるため、メーカーでは
行っていません。
ただ、サンドペーパーを用いたサンディング仕上げについても歴史は古く、その深さを知っている訳ではないので、批判的なことは言えません。
ただ、親方の仕事を見て「美しい」と感じたあの感覚、
鉋で削っている時の心地よさ、うまく削れた時の艶、そして刃物で仕上げた曲線の潔い美しさ
まだ親方のレベルには及びませんが、あれを目標に自分は、鉋仕上げで作り続けていきます。
鉋を扱う技術を受け継ぎ、次の作り手に伝えていくことも大切なことだと考えています。
なぜ手加工にこだわるのか?
「機械がないと仕事ができないような職人にはなりたくない」
「自分の身体の感覚を常に磨いておきたい。」
機械に頼りすぎると、自分の能力以上のものを作ってしまう。
木への尊敬を忘れ、傲慢さが出てくると思います。
機械を使うことは否定しません。お客さんに喜んでもらうために、機械が役立つこともあります。
必要に合わせて、使おうと考えています。
木のことや先人の知恵は、手で仕事をしているほうが強く感じれるとも思います。
子どもたちには、「自分の手と道具で作る」という経験はぜひしてもらいたいと考えています。
そのときに、仕事を見せられるよう、経験を積んでおく事も必要です。
先人の智恵や技を受け継ぎ、次の世代に伝えていくことも自分の役目だと思っています。
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